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ほぼゲーム感想日記 QuinRoseの感想に偏ってます 時折、他ジャンルが飛び交うことも・・・
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今日は2月22日!
にゃんにゃんにゃん
と、猫の日ですよ~

ロゼキャラといえばボリにゃんが有名ですが……
もっと元祖に猫キャラいるんですよ~
忘れてませんか?

ということで、まほごしゅからネロにゃんです!
BADend後設定でネロ+アリシアSS書いてみました
興味ある方は続きからどぞ~



貴女と2匹月を見る



「こんばんは、プリンセス」
「ネロ……」
「今日も良い夜ですね」

日もすっかり暮れた真夜中、涼やかな声に目を覚まし、声のする方を見れば、ネロが夜の気をまとい、するりと窓から部屋

に滑り込んできていた。
寝ぼけたアリシアの声にも構わず、ネロはベットの上でまどろむアリシアにまるで昼間かのように爽やかに挨拶をする。
今日とてセラスの目を掻い潜り忍び込んできたのか、その姿は学園でいつも見ていた少年姿ではなく青年のもので、学園外

で会うことしかない今や、その姿の方が馴染み深くなっている。
そう思える位にはアリシアとネロはこの部屋での逢瀬を重ねていた。

「あなたまた来たのね……」

はじめは夢かと思っていた逢瀬も幾度も重ねていればアリシアの記憶にも残っている。

「いい加減こんな真夜中に来るのはやめなさいよ。」
「こんな真夜中でないと、あなたを訪ねることなんてできませんよ。昼間は僕も仕事がありますし、
 きっとあなたのペットは僕が訪れることをよしとしない……」
「ペットって……セラスに聞かれたら燃やされるわよ……」

ネロはセラスのことについてどこまで知っているのかわからないが、いつもセラスのことをペット呼ばわりし、勝手に敵愾

心を抱いている。
先のセリフにも端々から忌々しさが感じ取れ、アリシアは少々呆れながらたしなめた。

「ねぇ、プリンセス。たまには僕と散歩をしませんか」

だが、ネロはもうセラスのことなどどうでも良いようで急に話題を変えてくる。
相変わらずの気まぐれさに苦笑する間もなくいきなりのネロの提案にアリシアはきょとんとした後に、盛大に顔をしかめた

「こんな夜に?イヤよ」
「何でですか。いいじゃないですか」
「あのね……だから、そんなことをしたいなら昼間に来なさいよ」
「だから僕もそれは無理だといってるじゃないですか……」
「そんなこと言われてもこんな夜遅くに……」

いくら地位を剥奪された身といえど、王族であった事実は消えない。
王族であった頃と比べると格段に減ったとはいえ、身の危険がないわけではない。
そんな身の上で無謀なことをするわけにはいかない。
そう思ってネロの提案を渋ったのだが、そのアリシアの態度にネロは盛大に拗ねてみせる。

「あなたに危険を近づけたりしません。僕だって今のペットほどじゃないかもしれませんが、優秀なんですよ」
「でも……」
「ずるいですよ、今のペットばかり可愛がって……僕も構って下さい」
「ネロ……」
「可愛がって下さい」

甘えるような、すがるようなネロの瞳。
どこか切なげなそのすがるような態度の中に、どこか脅迫めいたものが見え隠れするのは何故だろう。
いつか学園にいた頃に感じた既視感にアリシアはごくりとつばを飲んだ。

「わっ、分かったわよ……」

ネロの来訪にもどこか夢見心地だったアリシアだが、先の問答ですっかり目覚めてしまい、
ネロの提案に渋々承諾しベットから起き上がる。
押し切られる形に自分も甘いなと思いつつ、夜着から何か着替えようとクローゼットの方へ向かおうとした。

「その格好のままで構いませんよ」
「構わないって、流石に夜着のままでは……」
「どうせそのまま出ると見つかっちゃいますから……」

言葉の途中に、ネロが何かを呟き手をアリシアの上で振りかぶれば体に変化を感じた。
体が縮むという初めての感覚に驚けば、気づけばアリシアの目線は随分低い位置となっていた。
慌てて近くの鏡を覗き込めばそこには1匹の茶色い猫がいた。

「ねっ、猫……」
「はい、これならあのペットにも見つかりませんよ」

声の方を見れば随分と高い位置にネロの顔。

「ふふ、あなたの毛並みは茶色なんですね。可愛い……」

アリシアの髪の色のままに変化したのか確かにアリシアの毛並みは茶色だった。
どこにでもありふれていそうな茶色の猫。
しかし、ネロにとっては違うのか、それとも自分の仕事にご満悦なのか、猫になったアリシアを見てネロはどこか満足げな

様子を見せる。

「あなたが可愛いなんて……」

ネロは猫になったアリシアを抱き上げてうっとりとした表情を見せた。
だが当のアリシアはこの状況にとてもご満悦とは言えなかった。
初めての体験に少しオロオロする。

「これ…呪いじゃないでしょうね……」

変化した自分の姿にアリシアは恐る恐る問うた。
何度も会いに来てくれるくらいだから憎まれてはいないと思うが、ネロが自分に向ける感情は未だに分からない。
好かれてると思いきや、時に酷薄さを垣間見せる。
まるで気まぐれな猫のよう。
そんなネロが嫌がらせまがいに呪いをかける…
ありえないことではなさそうだ…。と思ってしまう。

「失礼な!ただの魔法ですよ。それにあなたに呪いをかけられる人なんてそうそういませんよ」
「え?」
「それに僕は【直接的】にはあなたに危害を加えることはできませんし……」
「は?」

ネロに何か含んだ物言いをされてアリシアは思わず聞き返す。
だがネロはしまったとばかりに口をつぐみ目を泳がすばかり。

「そっ、それよりプリンセス。早く行くなら行きましょうよ。夜は短いんですから……!」
「……」

怪しいまでに話を変えたネロをアリシアはじとりと見たが、確かにネロの言うことももっともであった。
せっかく変化までしたのだ、これで散歩に繰り出せないとなると何のために姿を変えてもらったかわからない。
それに今夜のような機会がそうそうあるとも思えない。
アリシアは諦めたようにため息をついた。
それに気づいたネロは安堵したように同じく息をつき少し笑った。

「さぁ、行きましょう。プリンセス」

振返ればいつの間にかネロも変化したのか、そこに青年の姿はなくいるのは一匹の猫。
ネロの誘いにアリシアは窓に足をかけ外に踊りでる。
四足歩きにはじめは違和感を覚えたが、次第に慣れてくると人であったときよりも速い速度で闇の中を駆けた。
屋敷はとっくに遠のき、暫く駆けていると開けた場所に出た。
そこで2匹は足を止めた。
月の光を受けて輝く草木の夜露の美しさに目を留める。
見上げれば何にも遮られない開けた夜空に見事な満月が見えた。

「綺麗な月……」
「そうでしょう?こちらに来るときに月が見えてあなたと見たいと思ったんです」

月の光がまぶしいのか月を見上げたネロの瞳孔が細まる。
月を見ていたアリシアはネロの言葉にネロの方を向き、あることに気がついた。

「あなたは黒猫なのね」

月の光に照らされて黒の毛皮が美しく輝き、薄暗い場所では分からなかった色が良く分かった。

「ふふ、綺麗な色。あなたの髪の毛は灰色だから猫になっても灰色かと思ったら。黒なのね。綺麗な毛皮」

艶やかなそれにアリシアは目を細めた。
褒められたネロは誇らしげにスンスンと鼻を鳴らす。

「そうでしょう?あなたが好きだって言ってくれたから、ちょっと細工してみました……本当の毛の色は勉強いっぱい頑張ったら灰色になっちゃったから……」

誇らしげな様子を見せたあとに、すぐさま悲しそうな顔をしてネロは一人忙しい。
そういえばいつだったかそんなことを言っていたような気がする。
相変わらずネロは理解のできないことばかり言う。
その時は疲れているのだと流したがまたもネロは同じことを口にする。

「ふふ、なんかそんなこと言うと、本当の猫みたいよ」

ネロの呟きにアリシアがおかしそうに言えば、ネロは急に黙り込んだ。
猫の姿で表情など分かるはずがないの、その顔は深い悲しみをたたえているようで、
アリシアは口をつぐんだ。
自分の何がネロを悲しませたのかは分らない。
しかし、これ以上ネロを悲しませたくはないと思った。
だからアリシアは口を閉じたまま月を見上げ続けた。
ネロもそれにならったようだが、果たしてその瞳が自分と同じものを映しているのかアリシアには分からなかったし、その

瞳を覗き込もうとは思えなかった。

 

「さぁ、着きましたよプリンセス」

たっぷりと月を堪能した2人はしばらくして屋敷に戻ってきた。
ネロが何か呟けばアリシアはまたも体に異変を感じ、気づいたときには元の人の姿に戻っていた。
自分の手を見つめ、体を見下ろしちゃんと人の姿に戻れたことを確認し終えるとアリシアは人知れずため息をついた。
そんなアリシアの足元にふわりと何か柔らかい感触がかすめた。
その感触に足元を見下ろせば、未だに猫の姿のままのネロがアリシアの足に擦り寄っていた。
それは本物の猫のような仕草でアリシアは思わず微笑んだ。
アリシアはすりすりと擦り寄るネロにほほ笑みかけながら、ひょいとその小さな体を抱き上げる。

「ふふ。ふわふわね気持ちいいわ」

抱き上げて柔らかな毛並みを撫でればネロは気持ちよさそうに目を細めゴロゴロと喉を鳴らした。

「本当に猫みたいね」

先ほどと同じセリフをつぶやけばネロは喉を鳴らすのをやめてじっとアリシアを見つめてきた。
また何か失言をしてしまったかとアリシアは口をとじた。
暫く2人の間に沈黙がおりた。
それを破ったのはネロだった。

「今夜はまるであなたが僕と同じようになったようで嬉しかった……。まるであなたが僕だけのあなたのようで……」

ネロは猫の姿のまま言葉を紡ぐ。

「でも、やっぱりあなたはあなたのままが良い。こうやって撫でて欲しい。」

切ない声音で呟きながら、撫でる動きが止まっていたアリシアの手にネロはぐいぐいと自分の頭を押し付けてきた。
その催促するような動きにアリシアはまた撫でる手を動かし始めた。
だがネロは先程までのように喉は鳴らさなかった。
代わりに聞こえてくるのは悲痛な叫び。

「もっと可愛がってください。褒めてください!昔みたいにいい子だねって……!」
「あなたのためにお勉強もいっぱい頑張ったんです。僕は今も昔もあなたの一番のペットでありたいから!こんなにお利口

にしているのに、あなたは……あなたは……っ!!」

いつかのようにネロがヒステリックに叫びだす。
見上げてくる瞳は、動物のそれなのに心なしか潤んでいるようでアリシアは心が締め付けられるようだった。
必死に追い縋るようにネロはアリシアに呼びかける。

「プリンセス!プリンセス!プリンセス……御主人様っ……!!」

喉を引き絞るような声。
プリンセスと叫び続けるネロの最後の一言にアリシアは何か衝撃なようなものを受けた。

「帰ってきてください!僕たちのところに、御…」

最後まで聞いていたいのに、聞かなければと思うのに何故かアリシアに急激な眠気が襲いかかる。
つい先程までしっかりしていたはずの意識は落ち始め、もうまぶたを開けていられない。

「御主人様……っ?」

あぁ、何故その呼び方に懐かしみを覚えるのだろう。

(ネロ……私の可愛い……)

「やめないかネロ……」

落ち行く意識の中、アリシアはここでは聞くはずのない声を聞いた気がした。

(あぁ、泣かないで、嘆かないで。私の愛しい……)

そこでアリシアの意識は完全に途切れた。


お粗末さまでした~
いかがでしたでしょうか?
猫の日といえばネロじゃん!と安直に書き始めたSSですが、気づけばなんか暗い話に……
ホントはドタバタ系を書きたかったんですが・・・・・
基本なんかシリアス話多いんですよね私・・・
根暗だからか・・・・・?

アリシアの猫姿にご満悦なネロも、撫でててもらってご満悦(?)なネロも書けたので私的に満足です♪
最後に登場したのは某執務長ですがお分かりになっただろうか……
本当は猫姿でみーみーハワードに泣きつくシーンまで書こうかと思ったんですが、今の方がキリがいいかと思って今の結末にしました
少しでも楽しんでもらえたなら嬉しいですv

では、猫の日残りわずかですが、色々巡って私もにゃんこ堪能してきます!
 

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